秋風の訪れと二輪の相棒
- tyamasaki82
- 9月21日
- 読了時間: 3分

ようやく涼しさが感じられるようになった九月も後半、殺人的とまで称された八月の酷暑を乗り越えた身には、日中の暑さすらもはや心地よいとさえ思える。もちろん油断は禁物であり、適切な休憩と水分補給は欠かせないが、心身ともにツーリングへと向かう準備は整いつつある。
一口にツーリングと言っても、日本一周のような長期間の旅路を求めるライダーもいれば、私のように一泊二日程度の短い旅を繰り返し楽しむ者もいる。私は後者であり、天候を読みながら細切れに自由を満喫するスタイルを好んでいる。目的地の絶景を追い求めるのではなく、ただひたすらに心地よい道を走り、時には気まぐれに未踏の細道へと分け入る。そうしてバイクと共にゆっくりと進むその瞬間、身体と脳が満たされていくのを感じる。幼少期からの放浪癖が成せる技か、かつて三輪車で海岸沿いを進み、そのまま乗り捨てて街中を徘徊し、両親を青ざめさせたという逸話が、今でも実家での笑い話になるほどだ。
非日常への憧れ、そしてその旅を支える相棒の存在。私にとって、それは幼少期の三輪車であり、今は愛車であるバイクだ。特にミッション車は、まるで意志を持つ生き物のように感じられる。高い視線から広がる景色を眺め、どこまでも走り続けられるこの感覚は、他の何にも代えがたい自由と解放感を与えてくれる。かつてオープンカーに乗っていた時期もあるが、オートバイにはそれとは一線を画す魅力が存在する。それは、楽しさや自由と常に隣り合わせである「リスク」だ。
二輪であるがゆえの転倒のリスク、そして生身の身体がむき出しであることによる怪我のリスク。それは、例えば夜間の山道で突然現れた鹿や猪といった獣と衝突し、大怪我を負うことかもしれない。あるいは、カーブを曲がりきれずにガードレールに激突することかもしれない。また、信号待ちをしている間に、スマホやテレビに気を取られた四輪車に後方から追突される可能性もある。そして最も典型的なものが、右折してくる対向車が直進するバイクの存在に気づかず、衝突するといった右直事故である。
身体感覚は無意識のうちにその危険を察知し、楽しさと危険が同時に味わえるこのスリルが、私のアドレナリンを刺激しているように思える。あくまで個人的な感想に過ぎないが、この感覚を共有するバイク乗り、特にオートバイ乗りに私は強いシンパシーを抱く。
日本は海岸沿いの道と、美しい山道とどちらも楽しめる国であるということに、心から感謝したい。そして、それらを味わうための自由を与えてくれるこの乗り物に、私は心から感謝している。
近年、若い世代、特に女性がバイクに興味を持つという話を聞くと、個人的には非常に嬉しく思う反面、手放しで「ぜひ乗ってみてください」と言い切れない自分がいる。これほどまでに魅力的でありながら、同時に危険もはらむ乗り物、まさに「馬」と呼ぶにふさわしい存在だ。本物の馬には乗ったことがないが、そう思いながら、私は明日のツーリングの計画を立てるのを楽しみにしているのである。